故朝比奈隆が全幅の信頼を寄せた“浪速のバルトーク”
大栗 裕
OHGURI,Hiroshi
1918-1982
ヴァイオリン協奏曲 (1963)/大阪俗謡による幻想曲 (1955, 1970改訂版) /管弦楽のための神話 - 天の岩屋戸の物語による (1977管弦楽版)/大阪のわらべうたによる狂詩曲 8.555321J(片山杜秀氏による日本語解説書付き)
(録音: 2000年8月 大阪、大阪フィルハーモニー会館)
*日本作曲家選輯*
高木和弘(vn)/下野竜也指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団
8.555321J
現代日本の優れた才能が、必ずしも東京から発信されるとは限りません。大阪フィルのホルン奏者を経て作曲家となった大栗裕は、故朝比奈隆の薫陶を得て、独自のカルチャーを誇る大阪の文化を音楽で描き出しました。言葉の抑揚、濃密な味わいの生活思想、熱狂的な祝祭、バーバリズムに彩られたエネルギー……。それらが作用して生まれた作品は、「大阪発のバルトークまたはハチャトゥリアン」とでも呼びたくなる民族性を有して、聴き手に強く訴えかけてきます。期待の俊英・下野竜也の棒を得て、吹奏楽界ではスター作曲家である彼の音楽を再評価へと導く作品集です。
「コテコテの関西情緒が見事な管弦楽に変身する妙を堪能できる。香港ナクソス社の「日本作曲家選輯」第三弾で気鋭の指揮者、下野のデビュー盤。」
(日本経済新聞 2002年4月21日)
「関西人らしい多弁で、明るく、しかも情緒的な世界をたっぷりと堪能させてくれます。ことにヴァイオリン協奏曲と「管弦楽のための神話」は傑作で、もっともっと聴かれるべき名作といえるでしょう。若き指揮者下野の熱演にも注目です。」
(諸石 幸生 おんかん)
「大阪出身の作曲家が1950〜70年代に書いた管弦楽曲を集めたもの。大阪の下町情緒や祭り感覚が能弁に表現されていて、楽しい。」
(礒山 雅 今月の私の3枚 毎日新聞 2002年5月14日夕刊)
「真面目な力作ヴァイオリン協奏曲を冒頭に、ヒット作《大阪俗謡による幻想曲》や天岩戸の前のウズメの踊り(和風「サロメ」!)を描く《神話》までを並べ、関西楽壇の民族楽派オオグリの魅力をあますことなく伝える強力な一枚。」
(吉松 隆 今月のディスク 音楽の友 2002年6月号)
「《神話》の導入部から次第にテンションを上げていく音楽の流れのよさといったらない。全3楽章27分のヴァイオリン協奏曲は、バルトークの影響があまりにも露骨にうかがえる作品だが、しかしその素地があってこその、大栗作品の世界。期待以上の雰囲気の濃さとコテコテのカロリーの高さで聴かせ通す《大阪俗謡》は、まさに喝采物である。」
(木幡一誠 今月のCD パイパーズ 2002年6月号)
「大阪に生まれて2001/2002のシーズンからシカゴ・シヴィック・オーケストラのコンサートマスターもつとめている高木和弘の独奏による《ヴァイオリン協奏曲》にも、いかにも大栗らしい語法が聴かれるが、その洒脱な表現のなかに、このジャンルに求められる機能性もいかされているし、その手慣れた手法も見のがすことはできまい。他の三作でもそれぞれに、大阪という土壌なくしては生まれてこないような雰囲気やヴァイタリティが横溢しており、どちらかと言えばラプソディックな性格が支配的ではあるが、基本的には手堅い演奏を通じて聴かせてくれる。興味ある一枚とはいえよう。」
(藤田由之 新譜月評 レコード芸術 2002年6月号)
「地車(だんじり)囃子の「コンコンチキチキ」のリズムがモダンな語法とせめぎ合い、一体化し、わきたつような音楽になだれこんでいく。野性的でエネルギッシュな音世界は魅力十分だ。」
(ヴァリエ 2002年6月号)
「ヴァイオリン協奏曲のレントなど大阪弁のおしゃべりみたいにきこえるし、大阪独特の語り口やにぎやかな喧騒がここかしこに感じられる。しかも意図と音楽がダイレクトに結ばれて、明快そのもの。演奏は音楽があらわすとおり、下野竜也がアグレッシブに、そして丁寧に音を組み立てて見事。」
(三橋圭介 準推薦 音楽現代 2002年6月号)
「70年代までの前衛にも、またその後の反前衛の「やわな」ムードにも食傷ぎみの耳には、「浪速のバルトーク」の熱狂と乗りの良さは、チャンチキの鳴りものも含め新鮮に響く。」
(クラシックプレス2002夏号 雨宮正佳)
「ナクソスによる日本作曲家選シリーズの一枚。つまり国際的に紹介しようという企画である。メインはヴァイオリン協奏曲だが、ここでは吹奏楽でもお馴染みの《大阪俗謡による幻想曲》ほかが聴きもの。」
(梅沢 敬一 バンドジャーナル 2002年7月号)
「当時、関西交響楽団の指揮者:朝比奈隆が彼の才能を認めて、その作品を海外公演に携えて演奏している。それから数十年して新しい演奏で、当時から見るとオケもソリストも演奏技術が向上して、作品の持つメーセージが正確にオーディエンスに伝わってくる。」
(クラシック・ニュース)
鮮やかな楽器の色合い、力強いメロディーと鋭敏なリズムを持つ全ての作品は活気に溢れ、熱狂的かつ焦点を絞ったその演奏は作品に胸躍る息吹を吹き込んでいる。
(Barry Witherden Gramophone August, 2003)
革新的で秀逸な日本作曲家選輯の今回のハイライトは作曲家大栗の作品。それは日本の大阪地方の民謡やわらべ歌から多く由来している。このディスクの大栗作品は仏教や神道の音楽的要素を伴う感動的なセレクションで、胸躍る演奏。推薦したい。
(ADLIB June 2003)
31才の高木和弘はいくつものコンクールで入賞を果たしている、彼が明確な個性をもって華やかに協奏曲を奏している間、大栗が属していた大阪フィルハーモニー交響楽団は大いにそして愛情をもって彼を支持している・・・。Lento(第2楽章)は雰囲気に満ち、フィナーレは哀愁を帯びた旋律、力強く陽気である、そして独奏部分は共にたいへんに魅力的。素晴らしい掘り出し物である。
(The Strad August 2003)
音楽の純粋な運動があらたな運動を起こすという手法ではなく、バルトーク的な打楽器の使用により、退化を救っている。この人の曲はもともと陰性なのであろう。ただし、ころんでもただでは起きない、というしぶとさがあり、いかにも大阪が感じられる。
(クラシック私だけの名曲1001曲 宮城谷昌光)
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