20世紀音楽史のエッセンスが凝縮された才能、矢代秋雄の代表作
矢代 秋雄
YASHIRO
1929-1976
ピアノ協奏曲(1964-67)/交響曲(1958) 8.555351J(片山杜秀氏による日本語解説書付き)
(録音: 2000年9月(交響曲)、2001年6月(ピアノ協奏曲) 北アイルランド、ベルファスト、アルスター・ホール)
*日本作曲家選輯*
岡田博美(p)/湯浅卓雄指揮/アルスター管弦楽団
8.555351J
ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク、ストラヴィンスキー、ベルク、プロコフィエフ・・・メシアン。20世紀前半の音楽史そのままに、革新的作曲家たちのエッセンスを師である橋本國彦や伊福部昭から受け継ぎ、ヨーロピアン・スタイルの音楽を完璧なまでに自己の作品へ昇華させた矢代秋雄。「この録音が日本の作曲家の地位を高めるきっかけになる」と矢代への共感を惜しまない湯浅卓雄の指揮、初演者・中村紘子の名演に対する岡田博美の新しい解釈、そしてアルスター管の深い音色を得たこの一枚は、ヨーロッパ楽壇に対する日本からの"誇り高き返礼"だと言えるでしょう。
TOWER RECORDS 渋谷クラシックウィークチャート(3/11-3/17)第1位
レコード芸術2003年2月号「2002リーダーズ・チョイス」
★読者が選んだベスト・ディスク総合16位
★ジャンル別 現代曲 第1位
「日本の現代音楽がついに達した高み」
ものを「創る」人種にとって、修行時代に先達のその営為を近しく感じることほど幸せなことはない。僕にとって、師・矢代秋雄の「ピアノ協奏曲」は、まさにそんな幸せの具現だった。以後この曲の幾多の演奏を聴いてきた。それらの多くは、硬質のピアニズムといわば日本的情感を漂わせるオーケストラ、という対比を構築の核に据えていたと思う。
だが、このCDの演奏は一味も二味も違う。余分な感興を排斥し、音楽の持つ推進力、機動力を整然とメカニックに表出している。
「交響曲」にも同じことが言える。たとえば作曲者が小説の祭囃子の表現から発想を得た第2楽章「スケルツォ」に、日本的な匂いは皆無だ。聴く者は、猛烈なスピード感とリズムの饗宴に酔いしれることができる。
2曲とも、では即物的かというと、さにあらず。真の普遍性とはこういうものを言うのか・・・。日本の現代音楽がついに達した高み。それがこの演奏なのだ、と僕は思った。
池辺晋一郎(作曲家)
「日本作曲家選輯」はわが国の管弦楽曲の素晴らしさを世界に発信すると同時に、これまで日本人自身が無意識に規制していた作品解釈の可能性を、外国演奏家・団体の力を借りて解き放つ場でもある。このCDを聴き、そんな思いを強くした。」
(ぶらあぼ4月号)
「特にピアノが初演のときよりも、いかにも易々と困難なパッセージをこなしているのを聴くと、隔世の観がある。初演でこの曲をどっしりと演奏した中村紘子に較べると、なんと易々と演じ、かつ透明度高く演じていることか。しかも決して緊張力を欠いていない。特に両端楽章における迫力はすばらしい。」
(レコード芸術5月号 佐野 光司 推薦)
「今回のふたつの作品の演奏は、矢代の“新古典主義”といったイズムには無関係に、自由自在な発想で旋律を歌い、リズムの躍動感を楽しみ、みごとに響きわたるオーケストラのトゥッティをおもう存分ホール中に拡散させている。」
(レコード芸術5月号 船山 隆 準推薦)
「湯浅卓雄のスピード感のある指揮でこの2曲から全く新しい魅力を引き出した見事な出来。特に岡田博美の強靭なピアニズムで聴くピアノ協奏曲は上品さをかなぐり捨てたバーバリスティックな一面を見せてくれるし、交響曲では「早い楽章はより早く・遅い楽章はより遅く」というコンセプトで目が覚めるような鮮烈な音楽が疾走する。これは、ストラヴィンスキーからメシアン&ジョリヴェに連なる作曲家としての「ヤシロ」を世界にクッキリと印象づける一枚になりそうだ。」
(音楽の友5月号 吉松 隆)
「ピアノ協奏曲と交響曲は若き日の力作であり、厳しい創作姿勢を背景としながらも生きた人間の音楽としての躍動感とリリシズムが脈打つ傑作です。イギリスを中心に活躍する指揮者とピアニストによる演奏ですが、作品に注がれる眼差しの真摯さに、作品の素肌の美しさを教えられる録音です。」
(おんかん4月号 諸石 幸生)
「夭折した作曲家:矢代秋雄(1929〜76)の名曲をCD化したものである。指揮:湯浅卓雄とピアニスト:岡田博美の優れた演奏で、曲に新しい生命を吹き込んだという思いで聴いた。両曲とも何度か生の演奏を聴く機会があったが、矢代が作曲家としてこれからという時にこの世を去ったのがおしまれる。」
(クラシック・ニュース 藪田 益資)
「岡田博美の情熱的なピアノをきいて、形式的な美しさを越えて迫り来る音楽の力に圧倒された。丁寧な音楽の読みに基づきながら、大胆な表現の幅を持つピアノ、指揮の湯浅卓雄も岡田のピアノを挑発しながらも、しっかりと支えている。オケは少々荒っぽいが、交響曲でもぶつかり合い、はじけるリズム、メシアンを思わせる官能的な響きなど、矢代の音世界を堪能できる。」
(音楽現代 5月号 三橋圭介 準推薦)
「色も華やぎもあらばこそ、沸々と高まるエモーションを、マッシヴに密集した響きにためてゴツゴツと畳みかけていく。その一途な響き、誰それの影響というより、西欧近代をカラダで徹底濾過しきった強靭さがある。」
(中野和雄 CDジャーナル 2002年6月号)
「ナクソスがはじめた日本の作曲家シリーズの一枚。画期的なシリーズで期待が大きかったが、矢代のアルバムを聴いて、期待以上の出来に感激した。」
(クラシックプレス2002夏号 田中明)
「ピアノ協奏曲はNHKの委嘱で矢代が作曲した唯一のピアノ協奏曲で、私などは、日本のオリジナリティをもっとも強く盛り込んだ世界に自負する作品と認識している。初演は中村紘子、若杉弘指揮=NHK交響楽団による。このアルバムは、ロンドンを拠点に世界に雄飛する岡田博美と、やはりイギリスを中心に活躍している湯浅卓雄とその手兵アルスター管弦楽団によるもの。実に力強い意欲溢れる演奏だ。」
(百瀬 喬 ムジカ・ノーヴァ 2002年8月号)
10点満点 芸術性9点 録音9点 総合9点
矢代はヨーロッパでは、マルティノンやフルネ、ギーレンといった人たちが彼の作品を紹介したにもかかわらず無名に等しい。今回、ナクソスの「日本のクラシック」のシリーズのおかげで、彼の2つの代表作を聴くことが出来る。熟練した同国出身の湯浅卓雄の指揮によるベルファストのオーケストラの演奏は、すみずみまで行き届き、十分な説得力を持っていて、録音もすばらしい。これはクラシック音楽のレパートリー拡大に重要な貢献をするものといえるであろう。
(ドイツのクラシックサイト「klassik heute」 Peter T.Koster)
矢代秋雄はヨーロッパではあまり知られていないがフランスでブーランジェやメシアンに師事した寡作の完ぺき主義者である。交響曲(1958)とピアノ協奏曲(1967)には高い職人技術、こだわり抜いた色彩の豊かさ、メシアンから吸収した驚くべき自由が見られる。バルトークをはじめとする他の影響もこの自信にあふれた魅力的に突き進む湯浅卓雄のすがすがしい指揮の中に感じられる。
(アイリッシュタイムズ Michael Dervan)
矢代は聴く者を船酔いさせずに大きな音をだしたりソフトにしたりするのはお手の物である。私はこのディスクを大推薦します。ナクソスの日本クラシックシリーズとして。東洋と伝統的クラシックの融合として。
(South Bucks Burnhan & Iver Express 2002年11月28日)
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